ざっくり言うと
・電気保安管理の3大要件は組織力・技術力・価格
・価格が安いのは、電気管理技術者>その他保安法人>電気保安協会>大手保安法人
・電気管理技術者協会所属の電気管理技術者と契約できるのはラッキー
外部委託の電気保安管理を行う主要組織として、シェア順でいうと
1.電気保安協会(社員)
2.電気管理技術者協会所属電気管理技術者(個人)
3・保安法人傘下の電気管理技術者(個人)
4.保安法人(社員)
5.どこにも所属しない電気管理技術者(個人)
です。
※様々な保安法人が増えてきており○○電気保安協会○○電気管理技術者協会と名乗るの新興協会がありますのでご注意ください。○○には地方の名前や国の名前が入れられることが多いですが、昔からある協会は電気保安協会全国連絡会や全国電気管理技術者協会連合会に所属する協会です。
私は2.電気管理技術者協会所属電気管理技術者となります。
なぜその属性を選んだのかというと
技術者としての裁量の自由度、個人事業主の弱点である組織力をカバー、
収入、電気保安協会の内部情報との比較、保安法人内部情報との比較、
どこにも所属しない場合のリスクと手間暇との比較をして電気管理技術者協会に所属するのが最適解だと考えたからです。
前職では全国トップの保安法人で名ばかり係長をしていました。名ばかりなので権限はあまりありませんでしたが、組織をまとめるうえで保安法人傘下の電気管理技術者である様々な組織からの転職組との情報交換によって電気保安協会内部の情報、他の保安法人の状況、技術者への待遇や営業の仕方を学び比較した結果、電気管理技術者協会所属の電気管理技術者が自分の技術力アップ、収入アップへつながると判りました。
事実入会後にこの判断が正解だったと実感しています。(現時点)
保安管理の技術を学びたいという一点だけでいうならば電気保安協会一択です。
物件数や長年積み上げてきた経験の伝達という他の組織がまねできない強みがあります。
問題は物件数に対しての人材不足、それを補うために現職の人たちへの負担増であるにもかかわらず働き方改革による板挟み、効率よく働けば働くほど収入減の仕組みができてしまっています。昔であれば残業、休日出勤を増やして若くして高給取りになれる魅力がありましたが、今は難しいようです。
情報収集という点でいうならば私の前職の保安法人一択です。
がむしゃらに営業してくる営業マンたちの情報は単なる技術者の情報とは鮮度が違います。
それとは別に傘下の電気管理技術者からの情報は多種多様で学ぶことが沢山あります。
収入という面でいうならば、社員という安定はありますが、高給取りにはなれません。
保安法人傘下の電気管理技術者は収入という面でいうと最低です。
保安法人に一定の手数料を取られてしまうので収入が低くなります。
私が知っている保安法人傘下の電気管理技術者は年金+点検手数料を貰って
保安法人の言われたとおりに点検するのんびりとした定年後の仕事だと感じました。
電気管理技術者としての責任は同じなので少し問題だとも感じてます。
純粋に個人の電気管理技術者になると一番自由度も大きく儲かるのではないか
と考えたこともありましたが一番の問題は代行者問題です。自分がケガや病気などで動けなくなったとき代行者に行ってもらはなければなりませんが、協会等に所属していないので探してこなくてはなりません。物件の営業も1からしなければなりませんので単なる技術者出身の人では無理だと思います。産業保安監督部への対応も自分ですべて行わなければならず、難しい問題があった場合でも解りませんではすみません。協会所属であれば仲間の中に経験済みの方がいたり本部を通して産業保安監督部と話ができたりするので問題になることは少ないのです。よって純粋に個人で電気管理技術者になることはお勧めしません。
最後に考えられるのは新興の保安法人に入り込み活躍して役員になり、いずれは上場などをして上場益を得る方法や、自分が保安法人を立ち上げる方法です。
これは何もわからない素人ができることではなく、活躍できるほどの営業力やベンチャー企業が欲しがるほどの業界知識、実務知識を持っていることが前提なので、電気保安協会からの転職組が数人でタッグを組んで行うくらいしか無理でしょう。
現在、電気管理技術者の募集を積極的に行っている組織は、
電気保安協会→テレビCM・4年に1回の電気安全調査により圧倒的知名度
大手保安法人→ネット検索でうっかり電験3種や電気主任技術者と検索すると様々なサイトでのバナー広告が表示される。
電気管理技術者協会→ホームページによる募集と業界紙等への広告のみで一般人への認知度は激低
よって認知度でいえば
電気保安協会>大手保安法人>電気管理技術者協会>その他新興保安法人
資金力・組織力と言い換えることもできます。
技術力でいえば
一部の電気管理技術者>電気保安協会>一般的な電気管理技術者>その他保安法人
個人のスキルに頼ることになる仕事なので一部のスーパー技術者は大抵電気管理技術者をしています。電気保安協会は手厚い教育で一定以上の技術を担保します。保安法人で技術のある技術者は保安法人に残らないことが多いのであまり技術力は期待できません。
価格でいえば(手数料が安い順)
電気管理技術者>その他保安法人>電気保安協会>大手保安法人
規模が大きいほど広告費やバックオフィス代が増え手数料が増えます。
技術者の収入でいえば(収入の多い順)
電気管理技術者>電気保安協会>大手保安法人>その他保安法人>保安法人傘下の電気管理技術者
一人の技術者が持てる物件数が決まっている仕事なので、バックオフィスのある法人から給料をもらう形式にするとどうしても安くなってしまいます。営業活動・経理など自分で行う分電気管理技術者の収入が高くなります。
これらのことを総合して顧客へのメリット順で並べると
電気管理技術者>電気保安協会>その他保安法人>保安法人傘下の電気管理技術者
となります。
電気管理技術者協会の技術者は、顧客にとって技術もあり手数料も比較的安く、
柔軟に対応できる最高の契約先です。
電気保安協会に契約数で負けている理由は何かといえば、知名度以外にありません。
皆さん知らないのです。謎の組織なのです。
技術があって安くて柔軟に対応してくれる技術者が一番いいに決まっています。
ただそれを皆知らないのです。
人気ミュージシャンのライブチケットを手に入れることはとても難しく、
購入出来たらラッキーです。ファンはキャンセルが出ないかと待っています。
電気管理技術者協会と契約することは本来そういった状態になるべきなのに
認知度が低すぎるため買いたたかれたりします。一人当たり数十件しか契約できないので
安売りする理由など本来無いのです。
最近の問い合わせでは、サーモグラフィを使用した点検の記事を見た設備担当者が電気保安協会ではサーモグラフィを使用した点検をしていないのはどうしてなのかと問い合わせてきました。簡単に説明すると費用の問題です、普通の放射温度計なら一つあたり数千円ですが、サーモグラフィなら一つあたり10万円以上かかります。電気保安協会や大手保安法人で全員に貸与した場合それだけで数億円がかかりその後故障修理でさらに費用が掛かります。簡単には導入できないのです。
その点個人の電気管理技術者は自分の点検資材を自分で用意するのでサーモグラフィを用意するしないはその技術者次第となります。収入がそれなりにある電気管理技術者なら買わない理由はあまりないので様々な試験器や計測器を購入していき保安レベルを上げていけます。
逆に手数料の安い保安法人傘下の電気管理技術者は収入が少ないため良い機材をそろえるのは困難となり保安レベルも低くなります。ある保安法人傘下の電気管理技術者で手数料の安い点検を行っていた技術者が事故が起きた時に別途手数料を払わないと対応しないといったことがあったそうです。顧客は対応してもらえず困り、技術者は手数料が安いので交通費や対応費で赤字になり、保安法人は顧客からのクレームを対応しなければなりません。評判も落ち誰も得しない契約形態です。契約する前に技術者にいくら入るか意識して契約しないとこういったことになります。
これから目指すべきは
電気管理技術者協会の認知度を
電気保安協会=電気管理技術者協会>大手保安法人
まで引き上げることが顧客にとっても自分たちにとってもメリットのある活動だと
考えています。
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