発電機からバッテリーへの移行が難しい話

ざっくり言うと

・携帯用発電機は重いがガソリンさえあればずっと使える

・インバーターとバッテリーの組み合わせは、軽くて静かで便利だが長く持たない

・両方所持して状況に応じて使い分けるのがベスト

 春となり年次点検や電気工事が増えてきました。

耐圧や継電器試験で使用する発電機やバッテリーがフル稼働中です。携帯用発電機はホンダやヤマハなどが信頼性の高い発電機を発売しているので、しっかりメンテナンスさえしておけば10年以上安定して使えます。北海道のブラックアウトの時も発電機を使用して仮設の電源を取られた方も多いと思います。ガソリンさえ補給できれば半永久的に電気が使用できるので大規模施設などで長時間使用する場合などには欠かせません。

 しかし最近は発電機に代わりバッテリーとインバータを組み合わせて100Vを作り試験を行うことが増えてきています。バッテリーは音が静かで発電機に比べると小型軽量である場合が多く夜中の試験や住宅街で試験するときに騒音で近隣住民からクレームを入れられることも無くなるので大変便利です。デメリットは試験の途中に容量不足になってしまうリスクがあることです。耐圧試験やGR試験などは大して電流が流れないので小さな容量のバッテリーでも基本的には持ちますが、耐圧試験が複数回行われる場合やOCR試験がある場合には電流を沢山流すので容量が足りなってしまうリスクがあります。

 写真のバッテリーはSUAOKIの自動車用のスターターバッテリーです。

出力は12Vで92.5Wh/25000mAh/3.7Vという規格です。このタイプのバッテリーは大抵中身に単3程度の大きさのリチウムイオン電池が組み合わされて作られているので、信頼性は低いと思われます。ですが、このバッテリーでは耐圧試験(充電電流5A程度位)やOCR試験が出来る優れものです。瞬時特性をやろうとすると、数回試験を行った時点で電圧降下が始まり出来なくなりますが、2回程度なら試験できます。充電もUSB-Cで出来るので携帯の充電と共用できるので便利です。

 このバッテリーとインバータを組み合わせて100Vを作るのですが、インバータの出力にも注意が必要です。GR試験であれば200Wあればできますが、OCR試験まで使用することを考えると最低4000W出力のインバータが必要です。よく定格出力2000W最大出力4000Wと書かれたインバータがありますが、2000W~4000Wは保護装置が働くのでほぼ使えないと思った方が良いと思います。OCR試験を想定して定格出力4000W以上のインバータを買った方が後々買いなおす必要が無くなるのでお勧めです。

 資金に余裕があるのならば、

1 発電機

2 インバーター

3 バッテリー(複数個)

の順で揃えていくのが良いのではないでしょうか。

永見電気管理事務所

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