PCB廃棄物という謎の物質を処分するだけの話

ざっくり言うと

・PCB特別措置法は平成13年(2001年)に公布され、すでに19年が経過している。

・調査費用と処理費用がかかり、手続きが煩雑なため放置されていることも多い

・放置すると1000万以下の罰金がある、補助金が出るうちに処分したほうが良いとのこと

 ポリ塩化ビフェニル(略してPCB)と呼ばれる「燃えない油」という魔法の様な物質をご存じであろうか。その昔、物質の分子レベルにまで人工的に手を加えられるようになり、燃えにくい性質を持つ油の開発に成功したようです。


 PCBは電気機器にとっては非常に有用で絶縁性もあったことから、トランスやコンデンサ等に絶縁冷却剤として使用され、産業機器を過負荷で使用しても火災や事故のリスクを減らすことが出来たため積極的に採用されました。


 その便利なPCBですが、1968年「カネミ油事件」などによって癌などの健康被害があることが広く知れ渡り、その後製造が禁止され1972年以降は製造されなくなりました。


 1972年以降製造されていないならそれ以降のものは関係ないのでは?と思いたいところですが、1989年製の密封式のコンデンサで低濃度PCBが確認されてしまいました。推測ですがPCBを使用した製造ラインを使用したか、油採取時にPCBが混入してしまったのだと思われます。おかしな話ですが出てしまった以上1990年以前のものは基本的にPCB含有調査が必要です。

 変圧器(トランス)に関しては、蓋がついており油交換・混入の可能性を否定できない為、必ずPCB含有調査が必要です。


 1990年以降に電気設備を全部交換し、油交換も絶対にしていない事業所ならば混入の心配はないと思われますが、変圧器を廃棄する場合にはPCB含有調査が必要となります。おかしな話ですが産廃業者が持って行ってくれませんから仕方がありません。

いつまで続くのか謎です。


今事業所でPCBに関してやらなけらばならないことは、

1 トランス、コンデンサ、安定器、OCB、OSなどのPCBが使用されている可能性のある機器の台数と型式の把握。(銘板・全景の写真撮影)

2 型番から高濃度PCB含有の有無の確認(各メーカホームページで確認)

3 低濃度PCB含有調査(年次点検等で油を採取し調査機関で分析してもらう)

4 PCB含有が判明したら各機関への登録・処分手続き

5 PCB含有機器の適切な保管

6 補助金の申請

7 処分

となります。


北海道の場合、

令和4年3月31日までが高濃度PCBの処理期限

令和9年3月31日までが低濃度PCBの処理期限

となっていますので、まずは高濃度PCBを使用中若しくは保管中の事業所は、早急に処分手続きに入りましょう。

「期限を超えてしまうと補助金ももらえなくなり罰金もあります。」

さらに、低濃度PCBも処分期限後は使用不可能になってしまうので令和8年までには新しい変圧器やコンデンサへ交換してしまった方が費用的にも良いと思います。1990年以前の変圧器、コンデンサを使用している事業所は交換工事をお勧めします。


永見電気管理事務所

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